新しい大規模開発が“魅力”アップするためのヒント

2025年は高輪ゲートウェイ、2024年は大阪グランフロント、虎ノ門ヒルズステーションタワー、麻布台ヒルズなど、大規模な再開発が次々とオープンしています。訪れると、導入機能や入っているお店のブランド、設計の方法など、なんかどれも似ている、という印象をもってしまいます。そんな新しいまちが魅力を持つために何ができるのでしょうか。

今回は、「歴史都市の魅力」をもとに「新しい巨大開発の街がどうすればその魅力に近づけるのか?」について、具体例を交えながら深掘りします。


目次

歴史都市の魅力は“物語”と“偶然”の積み重ね

1. 都市の記憶と物語性

魅力は、単なる「古さ」や「伝統」だけではありません。
京都の町家パリの石畳の路地を歩くと、そこに住んだ人や物語が空気に溶け込んでいるのを感じませんか?

  • 例えば、京都・祇園の路地裏。昼は静かな住宅地、夜になると老舗の料亭やバーが灯りをともす。
    その一つひとつに、何十年、何百年と続く家族や職人の物語が息づいています。
  • 銀座では、古い建物と新しい店舗、オフィス、ギャラリーが混在し、歴史と現代が交錯する独特の雰囲気が漂います。

2. 偶発性と多様性

歴史都市は、計画と偶然が交錯しながら形作られてきました。

  • 原宿竹下通りから表参道にかけては、長年にわたる都市空間の整備と、比較的小規模な開発の蓄積により、歩くたびに新しい発見があります。
  • ロンドンのカムデンマーケットも、元は運河沿いの倉庫街。今では古着屋やライブハウス、ストリートフードが混在し、訪れるたびに違う顔を見せてくれます。

3. コミュニティと社会的ネットワーク

  • イタリア・シエナのカンポ広場では、地元住民が毎日集い、年に一度のパリオ(競馬祭り)では町全体が一つに。(YouTube: Inside Palio di Siena)
    こうした長年のつながりが、都市の“居心地の良さ”や“帰属意識”を生み出しています。

新しい大規模開発の街が抱える「限界」

1. 均質性と画一性

  • 新しい開発エリアは、交通の安全性や投資効率を重視するあまり、どこか“無個性”になりがち。
  • 大資本優先、チェーン店が多く「どこにでもある街」になりやすく、独自の物語や偶然の出会いが生まれにくいのが現状です。

2. 時間の蓄積の欠如

  • どんなに美しい建物も、人々の記憶や物語が蓄積されるには時間が必要
  • 例えば、開業直後の横浜みなとみらいは、最初は“きれいだけど味気ない”と感じた人も多かったはず。

3. コミュニティの未成熟

  • 新しい街は住民が流動的で、コミュニティがまだ根付いていないことが多い。
  • そのため、都市の“温かみ”や“居心地の良さ”が生まれにくいのです。

巨大開発の街が「昔から魅力ある街」に近づくための5つの戦略

1. 「偶発性」と「余白」を意図的に設計する

  • グランフロント大阪では、用途が決まっていないオープンスペースやポップアップショップを積極的に導入。
    住民や来訪者が自由に使える“余白”が、思いがけない出会いやイベントを生み出しています。

2. 「物語」をつくる・育てる

3. 「多様性」を受け入れる仕組み

  • コペンハーゲン・ノアブロ地区では、住民参加型のワークショップを重ね、既存のコミュニティや文化を新しい開発に融合。(参考:
    住民の精神に調和し、交流を生む公園。コペンハーゲン「スーパーキーレン」 https://messe.nikkei.co.jp/js/column/design/124738.html)
  • 家賃や契約条件に柔軟性を持たせ、小規模事業者やアーティストも参入しやすい環境を整える例も増えています。例:下北沢reload 短期契約のポップアップ出展(reload PR資料)

4. 「コミュニティ形成」を支援する

  • 柏の葉スマートシティでは、住民参加型のイベントやワークショップを積極的に開催。
    管理組合だけでなく、市民が自発的に集まれる場を用意し、顔の見える関係性を育てています。(参考: Linkガーデンフェス)

5. 「時間」を味方につける

  • 最初から“完成形”を目指さず、街が成長し、変化していくプロセスをデザインすることが大切。
  • 10年、20年後にどうなっているかを想像し、街が“育つ”余地を残しましょう。

まとめ:これから“歴史をつくる街”へ

歴史都市のような魅力は、短期間で「完成」させることはできません。
でも、偶発性・多様性・物語性・コミュニティ形成の“種”をまき、街が自ら成長していく余地を残すことが大切です。

「完成された街」ではなく、「これから歴史をつくる街」として、人々が関わり続けられる仕組みをつくることが、近道かもしれません。

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