こんにちは!今回は、都市計画の現場で今や欠かせない存在となった「GIS(地理情報システム)」の活用法について、事例を交えながら解説します。
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1. GISって何?都市計画での役割
GIS(Geographic Information System)は、地理空間データを収集・管理・分析・可視化できるIT技術。
都市計画では、土地利用やインフラ、交通、環境など多様なデータを一元管理し、証拠に基づく意思決定や住民参加を支える強力なツールです。
主な活用分野
- データ統合と管理
- 地図作成・可視化
- インフラ・交通計画
- 環境影響評価
- 住民参加型の調査・フィードバック収集
- 犯罪分析やスマートシティ開発
参考:
[GIS in Urban Planning: Application, Tools & Examples](https://www.gislounge.com/gis-in-urban-planning-application-tools-examples/)
[GIS Applications in Urban and Regional Planning](https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/B9780128158210000083)
2. 日本の都市計画GISの例
日本では、国土交通省や地方自治体が積極的にGISを導入し、都市計画データの管理・公開・分析を進めています。
国土交通省の取り組みの一例
- [都市計画決定GISデータ 全国データダウンロードページ](https://www.mlit.go.jp/toshi/tosiko/toshi_tosiko_tk_000087.html)
全国の都市計画決定データを無償でダウンロード可能。行政や企業が都市計画情報を活用する基盤となっています。
- [全国都市計画GISビューア(試行版)](https://toshikeikaku-info.jp)
地図上で都市計画情報を誰でも閲覧できるサービス。市民や専門家が都市計画の詳細を簡単に把握できます。

新宿区の事例
たくさんの自治体が自前のweb-GISで公開しています。下記は新宿区の事例です。
- [新宿区みんなのGIS](https://www.sonicweb-asp.jp/shinjuku2/)
土地利用ゾーンや都市施設、駐車場、都市開発プロジェクトなどの情報をGIS形式で公開。

道路台帳平面図
3. 住民参加を促すオンラインGISサービス
GISは、住民が都市計画に参加できる仕組みづくりでも活躍し始めています。
オンライン地図を使ったアンケートやフィードバック収集で、住民の声を計画に反映できます。
下記は一例でmaptionnaireというサービスです。

- [Maptionnaire](https://www.maptionnaire.com/)
- 解説: https://participedia.net/method/maptionnaire
デジタル地図ベースの調査・住民参加を促進するプラットフォーム。エディンバラ市の公園設計など、活用事例が増えています。
参考事例:[Parks & Green Spaces, City of Edinburgh](https://www.maptionnaire.com/customer-stories/parks-green-spaces-city-of-edinburgh)
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4. ビジネスチャンスを生むデータ標準化
2024年8月、国土交通省が都市計画GISデータの統一フォーマットを公開したことで、企業のビジネス活用が加速。
不動産やインフラ事業の計画立案、都市開発の新たな価値創出など、さまざまな分野で活用が期待されています。
参考:
[国交省GISデータ「全公開」の衝撃、企業はどう活用すればいいのか?](https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/08216/)
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5. 主要ツール&プラットフォーム紹介
QGIS(オープンソースGISソフト)
QGIS (https://qgis.org)は、誰でも無料で使えるオープンソースの地理情報システム(GIS)ソフトウェアです。

GIS実習オープン教材
科研基盤A「GISの標準コアカリキュラムと知識体系を踏まえた実習用オープン教材の開発」により開発された教材です。
https://gis-oer.csis.u-tokyo.ac.jp
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6. まとめ:これからの都市計画とGIS
都市計画事務所におけるGISの使い方は、データ管理・分析から住民参加まで多岐にわたります。
今後はAIとの連携による予測モデルやリアルタイム分析が進み、スマートシティ開発も加速、日本の都市計画は、ますますデータ駆動型・住民参加型へと進化していくでしょう!