ソーシャルマーケティング(2) 運動習慣定着プロジェクトを例に理解を深める

今回は、「運動習慣の定着」をテーマに、ソーシャルマーケティングの実践プロセスをナラティブ(物語形式)で、ステップごとに具体的に描写します。


目次

運動習慣定着プロジェクト:ナラティブ・ステップ

1. 現状分析・課題抽出

ナラティブ

市役所の健康推進課では、住民の健康診断データを分析した結果、生活習慣病のリスクが高まっていることが判明した。特に30代~50代の働き盛り世代で運動不足が顕著であり、「運動したいが時間がない」「何から始めればいいかわからない」という声が多いことが、アンケート調査からも明らかになった。

2. ターゲット設定・インサイト抽出

ナラティブ

健康推進課は、働き盛り世代(30~50代の会社員)を主要ターゲットに設定。グループインタビューを実施すると、「仕事が忙しくて運動の優先順位が低い」「一人だと続かない」「運動の効果が実感できないとモチベーションが下がる」といった本音が浮かび上がった。彼らは「短時間でできる」「仲間と一緒にできる」「成果が見える」ことを重視していることが分かった。

3. 戦略設計(4P+ナッジ)

ナラティブ

健康推進課は、以下のような戦略を立てた。

  • Product(製品)
    1日10分の「オフィス・ストレッチ」プログラムと、週末の「みんなでウォーキング」イベントを開発。スマホアプリで運動記録や成果を可視化できる仕組みも用意した。
  • Price(価格)
    参加費は無料。アプリで一定期間運動を継続すると、地域のカフェで使えるクーポンや健康グッズがもらえるインセンティブを設定。
  • Place(場所)
    オフィスの会議室や近隣の公園を活用し、通勤途中や昼休みに気軽に参加できるようにした。アプリはいつでもどこでも利用可能。
  • Promotion(プロモーション)
    社内メールやポスター、SNSでの情報発信に加え、実際に運動を始めた社員のストーリー動画を作成し、「自分にもできそう」と思わせる共感型の啓発を展開。
  • ナッジ
    オフィスのエレベーター前に「階段を使うと1日〇kcal消費!」というポップを設置。アプリのプッシュ通知で「あと1分で今日の目標達成!」と励ましのメッセージを送る。

4. 実施・評価・フィードバック

ナラティブ

プロジェクト開始後、参加者は徐々に増加。アプリのデータ分析で、運動継続率や参加頻度をリアルタイムで把握。月1回のアンケートで「仲間と一緒だと続けやすい」「成果が見えるのが嬉しい」といったポジティブな声が集まった。一方で「週末イベントの時間が合わない」「アプリの操作が難しい」といった課題も判明。

健康推進課は、イベント時間の多様化やアプリのUI改善を即座に実施。PDCAサイクルを回しながら、より多くの住民が無理なく運動習慣を身につけられるよう、施策を進化させていった。


まとめ

このように、ソーシャルマーケティングの実践プロセスは、現状把握からターゲットの深掘り、戦略設計、実施・評価・改善まで、住民の「リアルな声」と「行動科学的知見」を組み合わせて進めていきます。ナラティブで描くことで、現場での具体的なイメージや、住民の心の動きまで可視化できるのが特徴です。

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