のんびり屋の郵便屋さん

疲れた日のために、心休まるストーリーを掲載します。


ある写真家が旅先で出会った、「のんびり屋の郵便屋さん」の話です。

南米の小さな島に、一人の郵便屋さんがいました。彼はもうおじいさんで、毎日自転車で手紙を配っていました。でも、彼の仕事は他の郵便屋さんとは少し違いました。

彼は、「いいニュースの手紙」しか、その日に届けないと決めていたのです。

朝、局で手紙の束を受け取ると、彼は封筒の手触りや、宛名の書き方、切手の種類をじっと見つめます。「これは請求書だな」「これは役所からの通知だ」と仕分けをし、少しでも「嬉しい知らせ」っぽい手紙だけを鞄に入れます。

恋人からの手紙、孫が描いた似顔絵、遠くの友人からの招待状。
そういった「心が温まる手紙」だけを持って、彼は自転車を走らせます。

残りの「堅苦しい手紙」はどうするのか?
彼はそれを、「天気が良くて、みんなの機嫌が良さそうな日」まで、大切に保管しておくのです。

ある日、村の人が彼に文句を言いました。
「おい、税金の通知が遅れて届いたぞ!」

すると、郵便屋さんはニコニコしてこう言いました。
「その日は雨が降っていたからね。そんな日に嫌な手紙をもらったら、もっと憂鬱になるだろう? だから、昨日みたいに素晴らしい青空の日まで待っていたんだよ。青空の下で開ければ、どんな通知も少しはマシに見えるものさ

村の人は呆れましたが、不思議と怒る気にはなれませんでした。
確かに、彼の届ける手紙はいつも、受け取る人を笑顔にするものばかりだったからです。

彼が引退するとき、島中の人が集まりました。
そして、彼に一通の大きな手紙を渡しました。中には何も書いてありません。ただ、島のみんなの笑顔の写真がたくさん入っていました。

それは、彼が何十年もかけて届け続けた「いいニュース」のお返しだったのです。


難しい仕事は、「雨の日の手紙」みたいなものです。
どうしても受け取らなきゃいけないけれど、今日はもう十分頑張りました。

今は心のポストを閉じて、「いいニュース」だけを受け取る時間にしてはいかがでしょうか。
温かい飲み物を飲むとか、好きな音楽を聴くとか。

どうぞ、今はゆっくり休んでくださいね。

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