「うちの若手は、もう少し視野を広く持ってくれたらな…」
「指示待ちは卒業して、もっと主体的に動いてほしい…」
多くの管理職が、一度は抱いたことのある悩みではないでしょうか。日々の業務に追われる若手社員に「相手の立場で考えろ」「全体を見ろ」と口で言うのは簡単ですが、その感覚を本当に理解してもらうのは至難の業です。
そこで今回ご提案するのが、劇的に視座が上がり、思考が深まる体験型研修『もし私がマネージャーだったら?』ロールプレイングです。
これは単なる「上司ごっこ」ではありません。若手社員が自らの殻を破り、”覚醒”するきっかけを作る、戦略的な人材育成プログラムなのです。
なぜ今、「マネージャーの視点」を体験させることが重要なのか?
あなたの部下は、普段こんな風に考えていませんか?
- 「この仕事、本当に意味があるのかな?」
- 「もっと成長したいのに、なんで会社は投資してくれないんだろう?」
- 「上司はいつも自分の意見を否定してくる…」
これらの悩みは、彼らが自分の「点」でしか物事を捉えられていないことから生じます。しかし、彼らが一度でも「マネージャーの視点」を疑似体験すると、世界は一変します。
- 時間軸の変化: 「今月」のタスクだけでなく、「来期の目標達成」のために今何が必要かが見えるようになる。
- 空間軸の変化: 自分の業務が、部署全体、ひいては会社全体の利益にどう繋がっているのかを理解できるようになる。
- 関心事の多様化: 「自分の成長」だけでなく、「チームの成果」「予算」「コンプライアンス」といった複数の要素を同時に考える思考が身につく。
この視座の転換こそが、彼らを「作業者」から「仕事人」へと成長させる鍵なのです。
専門家も納得!学びを最大化する研修の3ステップ
この研修は、ただ役割を演じるだけでは終わりません。科学的な学習理論に基づき、体験から深い学びを引き出すための3つのステップで構成されています。
【STEP1】思考の準備体操:「部長の思考」をインストールする
いきなり「マネージャーになって」と言われても、何をどう考えればいいか分かりませんよね。
まずは、思考の前提を揃えるための準備運動から始めます。
- 研修の目的を共有: 「なぜこの研修を行うのか」を伝え、やらされ感を払拭します。
- 「部長が見ている世界」をインプット: 部長が普段どんな情報(KPI、予算、人材育成、他部署との関係など)を元に意思決定しているのかを、分かりやすく図解でインプットします。
これにより、参加者は安心して「マネージャーモード」に入ることができます。
【STEP2】実践!リアルなケースで「部長の葛藤」を体感する
ここが研修のメインディッシュです。参加者が「自分ごと」として考えられる、絶妙な難易度のシナリオを用意します。
《シナリオ例》
あなたは〇〇のマネージャーです。
部下である若手のBさんから、「新しいスキルを身につけたいので、費用が50万円かかる外部研修に参加させてほしい」と相談を受けました。Bさんは優秀ですが、今担当しているプロジェクトが正念場です。部の研修予算は残り少なく、他のメンバーからも同様の要望が上がる可能性があります。さあ、あなたならBさんにどう伝えますか?
この問いに対し、参加者はまず一人でじっくり考えます。その際、思考を整理するための「マネージャーの視点フレームワーク」シートを活用します。
- この問題の本当の論点は?
- 関係者は誰で、それぞれ何を考えている?
- 承認/却下した場合のメリット・デメリットは?
- お互いが納得できる「第三の案」はないか?
- この面談のゴールはどこに設定する?
この思考整理こそが、単なる思いつきではない、構造的な問題解決能力を鍛えるトレーニングになるのです。準備ができたら、いよいよ部下役とのロールプレイングに臨みます。
【STEP3】学びの定着:「気づき」を「自分の言葉」に変える
体験は、振り返って初めて学びに変わります。ロールプレイングで感じたこと、考えたことを言語化し、他の参加者と共有する時間を設けます。
- 「部長役をやってみて、自分の要望を安易に伝えるのはやめようと思った」
- 「ただ『ダメ』と言うだけでなく、代替案を示すことの重要性が分かった」
- 「他の人の対応を見て、そんな伝え方があったのかと勉強になった」
こうした「生の声」を交換することで、学びは一気に深まります。そして最後に、「明日から、上司への報告・相談をどう変えるか?」という具体的な行動目標を立て、研修を締めくくります。
研修を成功させるための「隠し味」
この研修の効果を最大限に引き出すには、いくつかのコツがあります。
- 心理的安全性の確保: 「これは評価ではない」「失敗を歓迎する」というルールを徹底し、誰もが安心して挑戦できる場を作ることが何よりも重要です。
- リアルなシナリオ: 参加者の職場で実際に起こりうる「あるある」な問題をシナリオにすることで、没入感が格段に高まります。
- 質の高いフィードバック: 「良かった/悪かった」だけでなく、「なぜそう感じたか」を伝え合うことで、本人も気づかなかった強みや課題が明確になります。
おわりに
「若手が変わらない」と嘆く前に、彼らが変わるための「きっかけ」を提供してみませんか?
『もし私が部長だったら?』研修は、部下に上司の苦労を理解させるためだけのプログラムではありません。彼らが自らの仕事の意味を再発見し、より高い視座と当事者意識を持って日々の業務に取り組むための「覚醒スイッチ」です。
この研修を終えたあなたの部下は、きっと昨日までとは違う目で、仕事やあなたを見てくれるはずです。