30年投資「オルカン vs S&P500」と「現金比率」の最適解

「新NISAで一生持ち続けるなら、オルカン(全世界株式)とS&P500(米国株式)、結局どっちがいいの?」

これは現代の投資家にとって永遠のテーマです。ネット上には「米国最強説」もあれば「世界分散こそ王道説」もあり、調べれば調べるほど迷ってしまう人も多いでしょう。

この記事では、資産運用のプロフェッショナルな視点から、両者のメリット・デメリットを徹底比較。さらに「いくら現金を残すべきか?」という出口戦略まで網羅し、あなたが自信を持って30年の航海に出るための「結論」を提示します。


目次

1. なぜ「オルカン」が30年投資の王道なのか?(論理的優位性)

まず、オルカンが理論的に「負けにくい」とされる理由を整理します。

① リスク管理機能(守りの鉄壁さ)

  • カントリーリスクの排除: 特定の国(米国含む)が政治・経済・戦争などで没落しても、資産全体がゼロになることを防ぎます。
  • 「分からない」リスクへの保険: 30年後に起きる未知のブラックスワン(極端な事象)に対して、地理的な分散でダメージを軽減します。

② 自動調整機能(究極のメンテナンスフリー)

  • 時価総額加重平均: 「今、強い国・企業」の比率を自動で高め、「弱い国・企業」を自動で減らします。
  • 新陳代謝の自動化: もし30年後にインドが覇権を握っていれば、オルカンの中身は勝手にインド株中心になります。あなたは何も予想する必要がありません。

③ バリュエーション(割安・割高の平準化)

  • 平均への回帰: 割高になりすぎた市場(現在は米国など)と、割安な市場をミックスすることで、加熱しすぎによる反動減リスクを中和します。

2. オルカンにはどんな「弱点」があるのか?(構造的盲点)

完璧に見えるオルカンにも、明確な弱点は存在します。ここを理解して投資することが重要です。

① 平均化の罠(リターンの希釈)

  • ゾンビ国家の保有: 成長しない国、制度が腐敗した国の株も強制的に保有するため、優秀な米国株の足を引っ張る可能性があります。
  • コスト割高: 米国単独への投資に比べ、新興国を含む分、信託報酬や隠れコストが若干高くなる傾向があります。

② 分散の限界(連動性の高さ)

  • 世界同時株安: グローバル化が進んだ現代では、米国株が暴落すれば全世界株も暴落します。「分散=値動きが相殺される」とは限らず、暴落時のダメージは意外と変わりません。

③ 時価総額加重平均の遅行性

  • バブルの後追い: 過去の日本株バブルのように、「割高な国」の比率をピーク時に最大化させてしまい、その後の暴落をまともに食らう構造的リスクがあります。

3. 【結論】あなたはどちらを選ぶべきか?(タイプ別診断)

両者の30年後のリターン差は、実は「誤差」レベルかもしれません。重要なのはリターン予測ではなく、「あなたが30年間、売らずに持ち続けられるのはどちらか?」という相性です。

A. 「S&P500」を選ぶべき人

  • 信念: 「資本主義の最先端は常に米国。イノベーションは米国からしか生まれない」と信じている。
  • 覚悟: もし30年後に米国が没落しても、「自分の読みが外れたのだから仕方ない」と心中できる。

B. 「オルカン」を選ぶべき人(★プロの推奨)

  • 信念: 「どこの国が勝つかなんて分からないし、予想するのも面倒。世界全体が成長すればそれでいい」
  • 覚悟: もし米国株の方がリターンが高かったとしても、「まあ、平均点は取れたし大失敗はしなかったからOK」と納得できる。

【プロのアドバイス】
迷うくらいなら「オルカン」を選びましょう。「国を選ぶ」という悩み自体を放棄できる精神的メリットは、長期投資において最強の武器になります。


4. 忘れてはいけない「現金(キャッシュ)」のルール

「何を買うか」以上に重要なのが、「いくら現金を持っておくか」です。暴落時に退場しないための防波堤を作りましょう。

STEP1:生活防衛資金(絶対確保)

これは投資に使ってはいけない「聖域」です。

  • 会社員: 生活費の 6ヶ月〜1年分
  • 自営業: 生活費の 1年〜2年分

STEP2:暴落時待機資金(メンタル安定剤)

投資用資金の中で、あえて現金を残すかどうかです。

  • メンタルに自信あり: フルインベストメント(現金0%)。毎月の給料(入金力)で暴落時の安値を拾う。
  • 暴落が怖い: 投資資産の 10〜20% 程度を現金で待機。「暴落したら買い増せる」という余裕がパニック売りを防ぐ。

STEP3:年齢による調整(出口戦略)

  • 若年層(20-40代): 人的資本(これから稼ぐ給料)があるため、現金比率は低めでOK。
  • 高齢層(50代以降): 引退が近づくにつれ、現金を増やし(30〜50%以上)、暴落しても生活が破綻しない体制へ移行する。

5. 明日から実行できる「アクションプラン」

読んだだけで終わらせないために、具体的な行動指針をまとめました。

  1. 生活費の1年分を貯金する(まずはここから)。
  2. 新NISAの設定画面を開く
  3. 迷っているなら「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」を積立設定する
    • ※どうしても米国の成長を取り逃がしたくないなら、サテライトで「NASDAQ100」などを少し(20%程度)トッピングする。
  4. 積立設定をしたら、証券口座のパスワードを忘れるくらいの気持ちで放置する
  5. 余った時間で仕事や副業に励み、毎月の「入金力」を高める

30年後の勝者は、最高の銘柄を選んだ人ではありません。
「暴落しても動じず、市場に居座り続けた人」です。投資はこの不確実さを受け入れることがリターンの源泉です。おおらかに構えて長い航海を乗り切りましょう。

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