「せっかく採用時に非認知能力を重視して採用したのに、入社後その力が活かせていない気がする…」
「個々の能力は高いはずなのに、チームとしてうまく機能していない…」
このような課題を感じている育成担当者やチームリーダーの方もいらっしゃるのではないでしょうか。採用で丁寧に見極めた「非認知能力」は、入社後のチームメイキングに活かしてこそ、その真価を発揮します。
この記事では、個々の非認知能力を最大限に引き出し、チーム全体のパフォーマンスを高めるための具体的なステップと、そのヒントを落ち着いたトーンでお伝えします。個の力を結集し、組織の成長を加速させるチーム作りの旅へ、ご一緒しましょう。
なぜ、「非認知能力」を活かしたチームメイキングが重要なのか?
採用時に評価した非認知能力は、単に個人のポテンシャルを示すだけでなく、チームダイナミクス(チーム内の相互作用)に大きな影響を与えます。
- 相乗効果の創出: 異なる非認知能力を持つメンバーが集まることで、互いの強みが補完され、一人では成し遂げられない成果を生み出すことができます。
- 多様な視点とアイデア: 例えば、「創造性」の高いメンバーと「計画性」の高いメンバーが協力することで、革新的なアイデアが現実的な実行プランへと昇華されます。
- 困難への対応力向上: 「グリット(やり抜く力)」を持つメンバーや「ストレス耐性」の高いメンバーは、チームが困難な状況に直面した際の精神的な支柱となり得ます。
- 心理的安全性の醸成: 「共感力」や「協調性」の高いメンバーは、チーム内の良好な人間関係を築き、誰もが安心して意見を言える環境づくりに貢献します。
個々の非認知能力を理解し、それを戦略的に組み合わせることで、チームは単なる個人の集合体ではなく、学習し成長し続ける「生命体」のようになり得るのです。
非認知能力を活かす!チームメイキング【5つのステップ】
では、具体的にどのようにチームメイキングを進めていけば良いのでしょうか。以下のステップで、じっくりと取り組んでみましょう。
ステップ1:メンバーの「非認知能力」を再確認し、共有する
まずは、チームメンバー一人ひとりが持つ非認知能力を、改めて把握することから始めます。
- アクション:
- 行動観察や1on1ミーティングを通じて、実際に発揮されている強みや、まだ見えていなかった特性を把握します。
- (推奨)チームビルディングの一環として、お互いの強み(非認知能力を含む)を共有し、認識し合うワークショップなどを実施するのも有効です。
- ポイント: 「あの人は粘り強い」「この人は周りをよく見ている」といった漠然とした印象ではなく、具体的な能力として認識することが重要です。
ステップ2:チームの「目標」と必要な「非認知能力」を明確にする
次に、チームが何を達成すべきなのか、その目標達成のためにはどのような非認知能力が特に求められるのかを明確にします。
- アクション:
- チームのミッション、担当するプロジェクトの特性、達成すべきKPIなどを具体的に定義します。
- その上で、「この目標を達成するためには、特に粘り強さが必要だ」「新しいアイデアを生み出す創造性が不可欠だ」といった形で、必要な非認知能力を特定します。
- ポイント: 目標と必要な能力が明確になることで、チーム編成や役割分担の指針が見えてきます。
ステップ3:多様性とバランスを意識したチーム編成・役割分担
個々の非認知能力を最大限に活かすためには、チーム内の多様性とバランスが鍵となります。
- アクション:
- 同じような非認知能力を持つメンバーばかりで固めるのではなく、互いの強みを補い合えるような組み合わせを意識します。
- 例:アイデアを出すのが得意な人(創造性)と、それを具体的に計画し実行するのが得意な人(計画性、実行力)。
- 例:リーダーシップを発揮してチームを牽引する人(リーダーシップ)と、周りをサポートし調和を保つ人(協調性、フォロワーシップ)。
- それぞれのメンバーが持つ非認知能力を活かせるような役割分担を検討します。本人が「自分の強みを活かせている」と感じられることが重要です。
- 認知能力(スキルや専門知識)とのバランスも考慮し、チーム全体の能力が最適化されるようにします。
- 同じような非認知能力を持つメンバーばかりで固めるのではなく、互いの強みを補い合えるような組み合わせを意識します。
- ポイント: 「完璧な個人」を求めるのではなく、「完璧なチーム」を目指す視点が大切です。
ステップ4:心理的安全性を育み、コミュニケーションを活性化する
どんなに素晴らしい非認知能力を持つメンバーが集まっても、それを安心して発揮できる環境がなければ意味がありません。
- アクション:
- リーダー自身が、メンバーの意見やアイデアを尊重し、失敗を恐れずに挑戦できる雰囲気を作ります。
- お互いの違い(非認知能力の違いを含む)を個性として受け入れ、尊重し合う文化を醸成します。
- 定期的なチームミーティングや1on1、雑談の機会などを設け、オープンなコミュニケーションを促進します。
- メンバー間で積極的にフィードバック(ポジティブなものも、建設的な改善提案も)を送り合えるような仕組みや文化を作ります。
- ポイント: 心理的安全性が高いチームでは、メンバーは安心して自分の意見を述べ、創造性を発揮し、積極的に行動できるようになります。これは、非認知能力が最大限に活かされるための土壌となります。
ステップ5:継続的な育成とフィードバックを通じて、非認知能力をさらに伸ばす
非認知能力は、固定的なものではなく、経験や意識によって伸ばしていくことができます。
- アクション:
- メンバーの非認知能力の強みや、さらに伸ばせる可能性のある部分について、定期的にフィードバックを行います。
- ストレッチ目標(少し背伸びした目標)を設定し、挑戦する機会を提供することで、グリットや自己効力感を高めます。
- 異なる非認知能力を持つメンバー同士が学び合えるような、メンター制度やペアワークなどを導入するのも効果的です。
- 研修やワークショップなどを通じて、特定の非認知能力(例:コミュニケーション能力、問題解決能力)を強化する機会を提供します。
- ポイント: チームメンバーの成長を支援することは、チーム全体のパフォーマンス向上に直結します。リーダーは、個々の非認知能力の開花をサポートする「育成者」としての役割も担います。
チームメイキングを成功させるための「3つの心構え」
非認知能力を活かしたチームメイキングをより効果的に進めるために、以下の心構えも大切にしましょう。
- 「違い」を「力」に変える意識を持つ:
メンバー間の非認知能力の違いは、対立の原因ではなく、チームの可能性を広げる源泉です。それぞれの個性を尊重し、その違いをどうすればチームの力に変えられるかを常に考えましょう。 - 時間をかけて育む姿勢を持つ:
最高のチームは一朝一夕にはできません。メンバー間の信頼関係を構築し、それぞれの非認知能力が有機的に結びつくまでには、ある程度の時間が必要です。焦らず、じっくりとチームを育てていく意識を持ちましょう。 - リーダー自身も学び続ける:
チームメンバーの非認知能力を理解し、活かすためには、リーダー自身も常に学び、自己成長を続ける姿勢が求められます。メンバーから学ぶことも多くあるはずです。
最後に:個の輝きが、チームの未来を照らす
採用時に見抜いた非認知能力は、まさに「宝の原石」です。その原石を丁寧に磨き上げ、戦略的に組み合わせることで、チームは想像以上の輝きを放ち始めます。
個々のメンバーが持つ内なる力を最大限に引き出し、互いに高め合えるようなチームを育むことは、決して簡単な道のりではありません。しかし、その先に待っているのは、困難を乗り越え、共に成長し、大きな成果を分かち合える、真に強い組織の姿です。
この記事が、あなたのチームメイキングの一助となり、メンバー一人ひとりが生き生きと活躍できる環境づくりに繋がることを心から願っています。