今回は都市計画とシステム設計、両方の視点から「抽象化」について考察しまふ。
複雑な現実をどう整理し、扱いやすくするか──この力は、都市づくりにもITにも共通する“成功のカギ”です。
目次
抽象化って何?
抽象化とは、複雑なものをシンプルにまとめ、本質を抜き出すこと。
都市計画なら「街のゾーニング」、システムなら「オブジェクト指向設計」などがその例です。
良い抽象化の特徴と具体例
1. 本質を捉える
- 都市計画の例
用途地域(ゾーニング)で「住宅地」「商業地」「工業地」などに分けることで、土地利用の本質的な違いを明確にし、無駄な混乱を防ぎます。 - システムの例
オブジェクト指向設計では、車クラスに「速度」「燃料」など必要なデータと「加速」「ブレーキ」などの操作をまとめ、複雑なシステムをシンプルに扱えます。
2. 一貫性と予測可能性
- 都市計画の例
道路や公共施設の配置ルールを統一することで、住民や訪問者が街の構造を直感的に理解できます。 - システムの例
APIの命名規則やパラメータ構成を統一することで、開発者が迷わずに利用できます。
3. 柔軟性・拡張性
- 都市計画の例
将来の人口増加や新しい交通手段に対応できるよう、拡張可能なインフラ設計を行います。 - システムの例
プラグインシステムを導入し、新しい機能を簡単に追加できるようにします。
4. パフォーマンス最適化
- 都市計画の例
交通動線を最適化し、渋滞や混雑を減らすことで、都市全体の効率を高めます。 - システムの例
効率的なデータ構造(リストや木など)を使い、検索や挿入などの操作を高速化します。
悪い抽象化の特徴と具体例
1. 過度な一般化
- 都市計画の例
全国どこでも同じニュータウン設計を適用し、地域ごとの文化やニーズを無視してしまう。 - システムの例
何でもできる万能フレームワークを作った結果、どの用途にも最適化されず、使いにくくなる。
2. 重要な詳細の省略
- 都市計画の例
住民の声や地域特有の課題を無視した計画で、実際の生活に合わない街ができてしまう。 - システムの例
セキュリティやエラーハンドリングを省略した設計で、システムが脆弱になる。
3. 一貫性の欠如
- 都市計画の例
標識や道路設計がバラバラで、住民や訪問者が迷いやすくなる。 - システムの例
APIの命名や仕様が統一されていないため、開発者が混乱しやすい。
4. パフォーマンス低下
- 都市計画の例
無駄な道路や施設が多く、移動や運営が非効率になる。 - システムの例
中間処理が多すぎて、システム全体の動作が遅くなる。
良い抽象化・悪い抽象化の評価基準
- 目的に合っているか?
- シンプルで分かりやすいか?
- 将来の変化に対応できるか?
- 効率を損なっていないか?
都市計画とシステム設計、共通する教訓
- 抽象化は「現実」との対話が大事!
現場の声や実際のデータを無視した抽象化は、どんな分野でも失敗します。 - 多様性と包摂性を忘れない!
平均的なモデルだけでなく、さまざまな人や状況を想定することが重要です。 - 粒度(細かさ)の調整がカギ!
大きな計画には大まかな抽象化、細かい現場には詳細な抽象化が必要です。
まとめ
良い抽象化は「本質を見抜き、シンプルで柔軟、効率的」。
悪い抽象化は「現実を歪め、複雑で非効率、使いにくい」。
都市計画でもシステム設計でも、抽象化の質が成功を左右します。
あなたのプロジェクトでも、ぜひ“良い抽象化”を意識してみてください!